葬儀後に着手すべき相続手続きの種類と優先順位を解説
相続手続きは、家族や親族が亡くなった際に必ずやらなければなりません。
期限が定められているものもありますので、葬儀が終わりましたら計画的に作業を進めることが大切です。
本記事では、葬儀後に着手すべき相続手続きの順番と、手続きで必要になる書類等をご紹介します。
相続手続きをやらなければならない理由
相続は、亡くなった人(被相続人)の財産や債権債務等を引き継ぐことをいい、相続手続きは遺産を取得した人が行う、解約や名義変更等の手続きです。
相続財産に不動産がある場合、被相続人から相続人への名義変更が必要になりますし、預金については銀行口座の解約手続きをすることになります。
相続人の方だけで相続手続きを行うことも可能ですが、相続財産が多いとその分だけ手続きの数は増え、多くの時間と労力を費やすことになるため、事前にやるべき手続きの種類と期限を把握する必要があります。
相続発生後に行う手続きの主なスケジュール
相続が発生した際にやるべき主な手続きのスケジュールは、以下の通りです。
法的に期限が定められていない手続きについては、落ち着いてから作業を行っても問題ありません。
一方で、死亡届は死亡を知ってから7日間以内に提出をしなければならないなど、相続が発生してすぐにやらなければいけない手続きもあります。
相続手続きは細かいものまで含めると、100種類以上あるとされていますので、相続ごとで必要な手続きを確認し、書類の提出等を行わなければなりません。
死亡後にやるべき優先度の高い相続手続き
葬儀は被相続人が死亡後すぐにやることになりますが、次の手続きは葬儀が終わりましたら優先的に行ってください。
- ・年金受給停止手続き
- ・未支給年金請求の届出
- ・遺族年金の請求
- ・国民年金の死亡一時金の請求
- ・住民票の抹消・世帯主の変更
- ・介護保険の資格喪失手続き・介護保険証の返却
- ・葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求
- ・高額医療費の申請
- ・雇用保険受給資格者証の返還
- ・所得税の準確定申告、納税
年金関係の相続手続き
年金受給停止手続き
故人が年金を受給されていた場合、年金受給停止手続きが必要です。
相続が発生すると年金を受け取る権利が無くなりますので、「受給権者死亡届」を年金事務所または年金相談センターに提出しなければなりません。
手続きする期間は死後10日以内と短いため、優先的に手続きを行ってください。
なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方については、原則「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。
- ・故人の年金証書
- ・死亡の事実を明らかにできる書類
(戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
未支給年金請求の届出
「未支給年金請求の届出」とは、故人がまだ受け取っていない年金等を遺族が受け取るための手続きをいいます。
未支給年金の対象者となるのは、故人と生計を同じくしていた遺族で、下記の書類を揃えて届出書を提出してください。
- ・亡くなった方の年金証書
- ・亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類
(戸籍謄本等) - ・亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類
(死亡した受給権者の住民(除票)および、請求者の世帯全員の住民票等) - ・受け取りを希望する金融機関の通帳
- ・「生計同一についての別紙の様式」
(亡くなった方と請求する方が別世帯の場合)
遺族年金の請求
遺族年金は、遺族に支給される年金をいいます。
遺族年金にはいくつか種類が存在し、自営業者は遺族基礎年金、公務員や会社員の場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金です。
故人の年金の種類によって申請手続きする場所は異なり、遺族基礎年金の請求は故人の住所地の市区町村、遺族厚生年金の請求は故人の住所地の年金事務所または年金相談センターです。
遺族年金を受給するためには要件がありますが、受給権利がある方については下記の書類を揃えて申請してください。
- ・年金請求書
- ・年金手帳
- ・戸籍謄本
- ・世帯全員の住民票の写しまたは死亡した人の住民票除票の写し
- ・請求者の収入が確認できる書類
(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など) - ・子の在学証明書または学生証など・死亡診断書(死体検案書)のコピー
(高校生の子がいる場合) - ・受け取りを希望する預金口座の通帳など
- ・他の公的年金で年金をもらっている場合は年金証書
(死亡の原因が交通事故など第三者の行為による場合は別途必要書類あり)
国民年金の死亡一時金の請求
国民年金の死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者または任意加入被保険者として国民年金保険料を納めた期間が36月以上の人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないまま死亡したときに、その人と生計を同じくしていた遺族に支給されるものです。
故人が国民年金の第1号被保険者以外、納付期間が36か月未満、遺族が遺族基礎年金を受け取るときは受給対象から外れます。
請求期限は死亡日の翌日から2年となっており、該当する場合には「国民年金死亡一時金請求書」を市区町村または、年金事務所(年金相談センター)に提出してください。
- ・亡くなった方の基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
- ・戸籍謄本
- ・世帯全員の住民票の写し
(マイナンバーを記入すれば添付は省略) - ・死亡者の住民票の除票
(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要) - ・受取先金融機関の通帳等
(受取人本人の名義)
役所関係の相続手続き
住民票の抹消・世帯主の変更
市区町村に死亡届を提出しますと、故人は住民票から抹消されます。
しかし、故人が世帯主だった場合については、別途世帯主の変更届を提出しなければなりません。
(相続が発生したことで世帯に属する人が1人になった場合、届出は不要です。)
世帯主の変更届の手続き期限は、故人が亡くなってから14日以内で、故人の住所地の市区町村に変更届を提出することになります。
・官公署が発行した顔写真付きの書類
(マイナンバーカード、住民基本台帳カード、運転免許証、パスポートなど)
介護保険の資格喪失手続き・介護保険証の返却
故人が介護保険対象者だった場合、介護保険の資格喪失手続きと介護保険証の返却が必要です。
資格喪失手続きと介護保険証の返却は、故人の死亡から14日以内に故人の住所があった市区町村で手続きしなければなりません。
手続きに必要な書類は以下の通りで、故人の介護保険の支払状況によっては、未納分の支払いまたは還付が発生します。
- ・介護保険被保険者証
- ・介護保険資格喪失届
- ・介護保険負担限度額認定証
(交付を受けている方のみ) - ・保険料過誤状況届出書
(還付金が発生する場合)
葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求
葬祭費・埋葬料(家族葬祭料)は、国民健康保険協会などから支給される、葬儀費用の補助制度です。
自営業者や個人事業主で国民健康保険に加入している場合は「葬祭費」、会社員で健康保険や協会けんぽに加入している場合は「埋葬料」・「埋葬費」・「家族埋葬料」が支給されます。
埋葬料・埋葬費・家族埋葬料の違いとしては、埋葬料は故人が生計を維持されていた方、埋葬費は故人と生計維持関係のない埋葬を行った方、家族埋葬料は被扶養者(家族)が亡くなった際に支給されるものです。
なお、葬儀費と埋葬費の請求期限は「葬儀(埋葬)の日の翌日から2年以内」ですが、埋葬料の請求期限は「死亡日の翌日から2年以内」と少し違いますので注意してください。
葬祭料の必要書類
葬祭料は、故人が国民健康保険の被保険者やその扶養家族だった場合または後期高齢者医療制度の加入者だった場合に支給されるものです。
申請先は、住所地の市区町村です。
- ・国民健康保険葬祭費支給申請書
- ・国民健康保険証
- ・葬儀費用の領収書など葬儀を行った事実と金額がわかるもの
埋葬料の必要書類
埋葬料は、故人が国民健康保険以外の健康保険の被保険者だった場合、あるいは全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者だった場合に支給されるものです。
申請先は、健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)です。
- ・健康保険埋葬料(費)支給申請書
- ・健康保険証
- ・埋葬許可証か死亡診断書(コピー可)
- ・葬儀費用の領収書など葬儀を行った事実と金額がわかるもの
高額医療費の申請
「高額医療費制度」は、国民健康保険・後期高齢者医療制度・健康保険の加入者が、1カ月単位の医療費の自己負担が高額になったとき、一定の金額(自己負担限度額)を超えて支払った分が払戻しになる制度です。
申請先は加入している保険の種類によって異なりますので、保険証に記載の窓口に連絡して対応方法を確認してください。
- ・領収書
- ・保険証
- ・印鑑
- ・振込口座のわかるもの
- ・支給申請の書類
(必要な場合)
その他の相続手続き
雇用保険受給資格者証の返還
雇用保険受給資格者証は、失業手当を受け取ることができる資格(受給資格)を証明するものです。
故人が雇用保険を受給していた場合、亡くなってから1カ月以内に、故人が雇用保険を受給していたハローワークに受給資格者証を返還します。
- ・雇用保険受給資格者証
- ・故人の死亡の事実がわかる書類
(死亡診断書や戸籍謄本、住民票など)
所得税の準確定申告・納税
所得税の確定申告は、1年間の所得を計算して手続きすることになりますが、年の途中で相続が発生した場合には、「所得税の準確定申告」が必要です。
相続税の準確定申告は、故人の確定申告を相続人が代わりに行うことになり、申告期間は死亡を知った日の翌日から4か月以内です。
納税が発生する場合には申告期限と同日までに納付が必要ですので、相続が発生した年の所得を計算し、申告の有無を判断してください。
相続手続きをせずに放置するのは危険
故人の相続が発生した際は葬儀を最優先にやることになりますが、葬儀が終わりましたら、順次相続手続きを行ってください。
相続手続きを放置していると、遺産分割協議など次のステップに進めませんし、期限が定められている手続きを行わないでいると、トラブルが発生する要因となります。
そのため、故人の死亡した後にやるべき手続きが分からない場合には、専門家に相続手続きの代行を依頼してください。
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おすすめプランのご紹介
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相続財産の価額 | 報酬額 | (参考) 金融機関 |
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200万円以下 | 165,000円 | 100万円 |
200万円超 ~500万円以下 |
220,000円 | 100万円 |
500万円超 ~5,000万円以下 |
220,000円 ~814,000円 |
価格の1.62% |
5,000万円超 ~1億円以下 |
814,000円 ~1,364,000円 |
価格の1.08 ~0.864% |
1億円超 ~3億円以下 |
1,364,000円 ~2,904,000円 |
価格の1.08 ~0.864% |
3億円超 | 2,904,000円~ | 価格の0.648 ~0.324% |
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