親族が亡くなった際にやるべき相続関係の手続きを紹介
親族が亡くなった際は、親戚や関係者への連絡や葬儀の手配などやるべきことが多く、葬儀が終わった後も続けて相続手続きをしなければなりません。
相続手続きの中には期限が定められているものもありますので、今回は親族が亡くなった際にやるべき相続手続きの種類と、用意すべき書類について解説します。
- ・年金受給停止手続き
- ・未支給年金請求の届出
- ・介護保険の資格喪失手続き・介護保険証の返却
- ・住民票の世帯主の変更
- ・雇用保険受給資格者証の返還
- ・所得税の準確定申告・納税
- ・遺族年金の請求
- ・国民年金の死亡一時金の請求
- ・埋葬料・葬祭料・家族葬祭料の請求
- ・高額医療費の申請
年金受給停止手続き
年金の受給権は相続の発生により失われますので、年金受給者の親族が亡くなった場合、年金受給停止手続きが必要です。
日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方については、原則「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。
受給権者死亡届は年金事務所または年金相談センターに提出することになりますが、提出期限は死後10日以内(国民年金は14日以内)と与えられた期間は短いです。
年金手帳は令和4年(2022年)4月から、基礎年金番号通知書に変更した関係で廃止になっていますが、手元にある亡くなった人の年金手帳を死亡後に返却する必要はありません。
また、年金手帳は基礎年金番号を確認する書類として活用することはできますので、親族が亡くなったら保管してある年金手帳を探してください。
- ・故人の年金証書
- ・死亡の事実を明らかにできる書類
(戸籍抄本、市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
未支給年金請求の届出
未支給年金請求の届出は、亡くなった親族が受給できていなかった年金等を遺族が代わりに受け取るための手続きです。
未支給年金の対象者となるのは、故人と生計を同じくしていた遺族で、遺族の範囲および順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹と、前記以外の3親等内の親族(甥・姪・子の配偶者・おじ・おば等)です。
- ・死亡者の年金証書
- ・請求者と死亡者の関係がわかる書類
(戸籍謄本など) - ・請求者のマイナンバー(個人番号)がわかるもの
- ・請求者の住民票(※)
- ・死亡者の除票(※)
- ・請求者の金融機関の通帳
- ・生計同一関係に関する申立書
- ・委任状および代理人の本人確認ができるもの
(代理人が手続きする場合)
※死亡者の基礎年金番号、請求者のマイナンバー(個人番号)を請求書に記入することで省略できる場合があります。
介護保険の資格喪失手続き・介護保険証の返却
介護保険の資格喪失手続きは、故人が介護保険対象者だった場合に行う手続きです。
亡くなった親族の死亡から14日以内に、故人の住所があった市区町村で手続きおよび介護保険証の返却を行います。
介護保険の支払い状況によっては、未納分の支払いまたは還付が発生することもあるため、状況に応じて適宜対応してください。
- ・介護保険被保険者証
- ・介護保険資格喪失届
- ・介護保険負担限度額認定証
(交付を受けている方のみ) - ・保険料過誤状況届出書
(還付金が発生する場合)
住民票の世帯主の変更
亡くなった親族が世帯主だった場合、世帯主の変更が必要です。
(相続発生後の世帯に属する人が1人のときは手続き不要です。)
世帯主の変更届の手続き期限は故人が亡くなってから14日以内で、故人の住所地の市区町村に変更届を提出してください。
・官公署が発行した顔写真付きの書類
(マイナンバーカード、住民基本台帳カード、運転免許証、パスポートなど)
雇用保険受給資格者証の返還
雇用保険受給資格者証は、失業手当の受給資格を証明するものです。
亡くなった親族が雇用保険を受給していたときは、死亡から1か月以内に故人が雇用保険を受給していたハローワークへ受給資格者証を返還してください。
- ・雇用保険受給資格者証
- ・故人の死亡の事実がわかる書類
(死亡診断書や戸籍謄本、住民票など)
所得税の準確定申告・納税
通常の所得税の確定申告は1年間の所得を計算することになりますが、年の途中で相続が発生したときは、「所得税の準確定申告」を行うことになります。
納税額が算出されなければ準確定申告の申告義務は生じないため、相続が発生した年の故人の所得を把握し、申告の有無を確認してください。
準確定申告の手続き期間は死亡を知った日の翌日から4か月以内であり、原則として相続人が連名で提出しなければなりません。
準確定申告に伴う所得税の支払期限は申告期限と同日であり、各相続人が法定相続分等の割合に応じて納めます。
一方、準確定申告で還付が発生する場合には、相続人は還付金を受け取ることができます。
遺族年金の請求
遺族年金は、故人が家族を扶養している場合、被扶養者の遺族に対して支給される年金です。
遺族年金を受給するための条件はいくつかあり、亡くなった親族が受給していた年金の種類によって申請する場所は異なります。
たとえば、遺族基礎年金については、故人が住んでいた場所の市区町村役場、遺族厚生年金の請求は故人の住んでいた場所を管轄する年金事務所または年金相談センターで行います。
- ・年金請求書
- ・年金手帳
- ・戸籍謄本
- ・世帯全員の住民票の写しまたは死亡した人の住民票除票の写し
- ・請求者の収入が確認できる書類
(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など) - ・子の在学証明書または学生証など
- ・死亡診断書(死体検案書)のコピー
(高校生の子がいる場合) - ・受け取りを希望する預貯金口座の通帳
- ・他の公的年金で年金をもらっている場合は年金証書
(死亡の原因が交通事故など第三者の行為による場合は追加書類あり)
国民年金の死亡一時金の請求
国民年金の死亡一時金は、対象者と生計を同じくしていた遺族に支給される一時金です。
国民年金の第1号被保険者または任意加入被保険者として国民年金保険料を納めた期間が36月以上の人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないまま死亡した場合に支給されます。
(故人が国民年金の第1号被保険者以外、納付期間が36か月未満、遺族が遺族基礎年金を受け取るときは受給の対象から外れます。)
受給する権利があるときは、死亡日の翌日から2年の間に「国民年金死亡一時金請求書」を市区町村または、年金事務所(年金相談センター)に申請手続きを行ってください。
- ・亡くなった方の基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
- ・戸籍謄本
- ・世帯全員の住民票の写し
(マイナンバーを記入すれば添付は省略) - ・死亡者の住民票の除票
(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要) - ・受取先金融機関の通帳等
(受取人本人の名義)
埋葬料・葬祭料・家族葬祭料の請求
埋葬料・葬祭料・家族葬祭料の補助金制度は、葬儀や埋葬を行う方に給付金が支給される制度です。
加入している保険によって名目が異なり、自営業者や個人事業主で国民健康保険に加入している場合は「葬祭費」、会社員で健康保険や協会けんぽに加入している場合は、「埋葬料」・「埋葬費」・「家族埋葬料」の名目で支給されます。
埋葬料は故人が生計を維持されていた方、埋葬費は故人と生計維持関係のない埋葬を行った方、家族埋葬料は被扶養者(家族)が亡くなった際に支給されます。
葬儀費と埋葬費の請求期限は「葬儀(埋葬)の日の翌日から2年以内」ですが、埋葬料の請求期限は「死亡日の翌日から2年以内」です。
該当する種類によって申請期限が違いますので、期限間近に手続きする際は注意してください。
葬祭料の必要書類
葬祭料は、故人が国民健康保険の被保険者やその扶養家族だった場合または後期高齢者医療制度の加入者だった場合に支給されるもので、住所地の市区町村に申請します。
- ・国民健康保険葬祭費支給申請書
- ・国民健康保険証
- ・葬儀費用の領収書など葬儀を行った事実と金額がわかるもの
埋葬料・埋葬費(家族埋葬料)の必要書類
埋葬料は、故人が国民健康保険以外の健康保険の被保険者だった場合、あるいは全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者だったときに支給されるもので、健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に申請します。
- ・健康保険埋葬料(費)支給申請書
- ・健康保険証
- ・埋葬許可証か死亡診断書(コピー可)
- ・葬儀費用の領収書など葬儀を行った事実と金額がわかるもの
高額医療費の申請
高額医療費制度は、国民健康保険・後期高齢者医療制度・健康保険の加入者の1か月の医療費が高額になった際、払戻しを受けることができる制度です。
医療費の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合、超えて支払った分の負担額が払戻しとなります。
高額医療費の申請先は加入している保険の種類によって異なりますので、保険証に記載されている窓口へ連絡していただき、手続き方法を確認してください。
- ・保険証
- ・印鑑
- ・領収書
- ・振込口座のわかるもの
- ・支給申請の書類
相続手続きは専門家に丸ごと依頼するのがオススメ
亡くなられた方の財産や生前の状況によって、やるべき相続手続きの種類は違いますし、相続手続きを忘れているとトラブルの原因になります。
相続人の人数が多ければ集める戸籍謄本の数は増えますし、本籍地がある市区町村ごとに申請しなければならないため、書類を集めるだけでも大変です。
当事務所では、相続手続きのご依頼を数多く引き受けており、相続手続きはもちろんのこと、死後の届出や申請の手続きについても代行しております。
無料相談も実施しておりますので、少しでも相続に関する手続きに不安がある方はひとりで悩まず、お気軽に当事務所へご相談ください。